地域観光 振興作戦

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6.瀬戸内(呉近辺)ストーリーツアー提案
2021/1 記

          緒  言 
  呉近辺には、瀬戸内の絶景と共に、江戸時代から戦後までの歴史を物語る遺構や遺物は、貴重な『文化・歴史遺産』としてしっかり保存されています。 その両者が相俟って「魅力的な観光スポット」が、現在は瀬戸内海のあちらこちらに整備されています。

  しかし「観光スポット」が揃っていても、大勢の観光客が来訪する訳ではありません。
 ①観光客にとって強い感銘を受ける「観光ルート・順路」と、②観光スポット数(多さ)が相乗効果となって感激が拡大する仕組みでなければ、単なる「雑貨品の展示場」に過ぎません。
 それには、本報では次の様な【ストーリー(テーマ)ツアー】を提案していきます。
【ストーリーツアー】; 瀬戸内(呉近辺)の歴史・文化遺産や自然景観をストーリーで繋ぎ、筋書きに沿って鑑賞する様に巡るツアーです。
【テーマツアー】; ストーリーを何回かのテーマに分けて巡る、『連続ドラマ式ツアー』です。




   1.瀬戸内(呉近辺)観光について『現状の課題』
    瀬戸内(呉近辺)には「歴,史・文化遺産」や絶景スポット」が豊富でも、観光魅力が評価される為には、次の様な課題があります。
  【 現状の課題 】
❶エリア周辺に、魅力的観光スポット(遺跡=点)が沢山あっても
通常の観光手段(交通手段など)では、その極く一部しか見学できない。
❷エリア全体の歴史・文化遺産の本質的価値が幾ら貴重でも
エリア全体の歴史・文化遺産について、系統的に整理して説明される場がない為、沢山の観光資源(遺構など)を見学しても、雑貨店の商品外観を見て回る感覚でしかない。 (歴史的・文化的価値は理解されない)
❸ガイドブックも現地ガイドも、各観光スポット毎「個別独立運営」では
   歴史遺産や、文化遺産の紹介(記事)も、ガイドの説明も、拠点(単体)毎の細切れで、スケールの大きい歴史ドラマは実感できない。
 ❹観光客誘致政策(観光振興政策)も関連事業者との連携も、
   日本遺産など貴重な遺構や、魅力スポットなど数多く紹介(PR)や、それを巡る交通機関や、旅行会社のツアープランナーなどは個別運営では総合効果がでない。

 2.対策 ; テーマツアー(ストーリーツアー)の提案
  上記の課題に対し、必要な対策は次の2件に集約されます。
①外部に対しエリア全体の見どころを系統的にストーリー化してPR/説明
  する仕組みの構築
②広範囲の周辺スポットを、効率的に周遊できる「移動システム」の構築、
   →それを満足する仕組みが、「テーマツアー(ストーリーツアー)」の提案です。

  2-1 「テーマツアー(ストーリーツアー)」の基本的な考え
   その基本的考え方は次の通りです。
 ❶  瀬戸内(呉近辺)エリアは、歴史遺産や観光スポットが揃っていても、現状は 《1-day 完結型 ツアー》が定例なので、極く一部しか観光できない
   対策; 全体を何回かに分けて見学するツアーを商品化する。
 ❷  沢山の観光スポットを見学しても、雑貨店の商品の外観を見て回る様な感覚では、歴史的・文化的価値の理解はできない。
   対策; エリア全体の見どころを網羅(要約)するストーリーを組立て、系統的に説明する「場」を設ける。
 ❸ エリア全体を網羅(要約)するストーリーがあれば、
  (旅行会社等の)ツアープランナーは
  ストーリーからテーマに分割し、観光スポットや遺構(点)を、(線)に繋ぐ「テーマツアー」(複数)を企画し「観光商品化」)できる。、
     テーマツアーを連結【連続ドラマ型ツアー】にすれば魅力は(面)に広がる。
学術or教養系テーマは【探究型ツアー】(知れば知るほど新たな疑問が湧く)を考えればもっと趣向に富む観光商品ができる。
  ガイドブック編集者、現地観光ガイドは
     地元(郷土)の自慢話のみでなく、周辺の観光資源や観光スポットなども、ストーリーに繋いで、もっと幅広い説明ができる。
 観光客誘致の効果  
   一度来訪した観光客に、再来訪(リピーター化)を促すことができる。
    テーマツアー(複数)に連続ドラマ感覚で参加し、広域エリアを(面的に)理解する。 →観光スポット数の増加は、観光魅力UPの相乗効果が期待できる。

 2-2 具体的手順
  その為の具体的手順は次の様に考えています。
→❶※1瀬戸内海(呉近辺)を総合的に俯瞰するストーリーを考え、
    ガイドブックや、パンフレットや、現地観光ガイドなどの案内に反映する。
→❷旅行会社(ツアープランナー)は、全体バランスを考えながら「テーマ(複数)」を選び、
→❸「ツアーメニュー(複数)」品揃えし【連続ドラマ型ツアー】を観光商品化する。
→❹現地観光案内は、各観光スポットだけの完結編でなく、他のスポットとの(連続
   ドラマ化)を考えてガイドする。
→❺観光者は、ツアーメニューの中から好きなテーマを選んで(複数回)参加すれば、
→❻瀬戸内エリアを(面)として理解され、観光魅力(感動)を倍増させる。
 注 ※1) 瀬戸内(呉近辺)を総合的に俯瞰するストーリーは、
 各観光スポットや遺跡や遺構 について「公知の説明(案内)を繋ぎ合せる」ものです。 現地ガイドや、旅行会社(ツアープランナー)や、ガイドブック編集者が、各人の小説を頭の中に描けばよいことです。
 観光ストーリーは、大筋は教科書に沿うとしても、聞く人に観光の夢が膨らむ様にフィクションや想像や作者の考えなどの趣向を凝らすことが必要です。
  ストーリー(コンテンツ)は、例えば、歴史、景観、文化・・・、北前船、朝鮮通信使、戦艦大和、太平洋戦史、各島の固有の文化・・・、健康、保養、体験、特産物、グルメ・・・等々、様々な分野にも、広がれば広がる程、応用範囲は広がります。

  2-3.テーマツアー(ストーリーツアー)実現の為の課題
   観光に携わる人に、上述の課題や、テーマツアー(ストーリーツアー)の趣旨が理解されれば、現状改善は自ずと前進する筈ですが・・・、容易でない事情があります。
強い地元(郷土)第一主義の問題
 各観光スポットは、地元住民や観光ボランティアなど、地元愛者が中心に活躍している。 それは狭い「地元(郷土)ファースト」意識が強く、 例えば、外部の観光ボランティアが入境して活動したり、逆に外部エリアに越境して活動するなど、地域連係体制は容易に纏まらない。
旅行会社(ツアープランナー)の問題
旅行会社(ツアープランナー)は、そんなことに係わる立場にない為、人気スポットを「つまみ食い」してプランを造る。 結果、一部の人気観光スポットをしか利用されない。
広域観光の推進リーダーが明確でない問題
複数の観光スポットにまたがる観光戦略は、調整役が不在の為、現場(各観光協会、旅行会社、現地ガイド、観光ボランティアなど)は、個別バラバラになって(湯崎知事から)瀬戸内観光の大方針が出されても、有効な行動ができない。
この中で、最も重要なポイントは ❸ と考えます。
  具体的に現場を動かす組織が、個別バラバラでは、現状は何も進展しません。
 

  3.瀬戸内(呉近辺)を総合的に俯瞰する観光ストーリー化(例)
   瀬戸内(呉近辺)の歴史、地理、文化の分野を中心に、私個人の視角で描く「観光ストーリー」の一例を、次(別報)に示します。
参照; 別報 瀬戸内(呉近辺)のストーリー観光
    但し、あくまでも観光目的です、大筋では教科書に沿っている積りですが、聞く人に観光の夢が膨らむ様、フィクションや想像や個人的思想などを混じえています。

 

   4. 終わりに
     瀬戸内(呉近辺)の各観光スポットや観光資源の関連づけ(観光ストーリー化)は、私個人の視角で例示したものです。 観光客に感銘を与えることを重視し、フィクションや私的な考えも混じえています。
  コンテンツには、例えば、歴史、自然、文化・・・、北前船、朝鮮通信使、戦艦大和、太平洋戦史、各島の固有の慣習、健康、保養、体験、特産物、グルメ・・・等々、様々な分野も含まれれば、活用範囲はもっと拡がります。
  但し、観光目的で重要なことは、事実に対して正確性よりも、各々の地域(点)をストーリー(線)に連係することです。 その意識が失念状態だから、次の様な「負」の連鎖が持続します。
【 ストーリー化意識失念による「負」の連鎖 】
観光ガイドブックにパンフレットでは、沢山の魅力スポットを紹介しても、
 一般観光客の移動手段(交通機関、バスツアー等)とはマッチングしない。
旅行会社の主催旅行は、
→沢山の観光スポットの中から一部の人気スポットを「つまみ食い」するコースしか催行されない。 その結果、→他の多くの観光スポットは、全く活用されない。
観光案内(ガイドブックや、観光ガイドなど)は、
狭い現地単体の「1-day完結型(細切れ)の案内(説明)が定着して、 周辺の観光資源や歴史遺産と連係する「相乗効果」が生まれない。
各観光スポットは、
   ①狭い地元第一主義、→②観光ガイドも『地元のPR(郷土自慢)』が主体、→③周辺エリアとの連係協力体制が整わない。
   以上の様な連鎖で、瀬戸内(呉近辺)の広域観光魅力が失われていても誰も気づきません。
   しかしそれ以前に、「負の連鎖」の総本山は、複数の観光拠点にまたがる「観光振興政策」を考え、指導力を以て改めるリーダーの存在がはっきりしないことです。
 
  瀬戸内観光作戦;         8

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