******* 2005 ** 01/08(土)** 【雲中舞い上がりフライト 】 *******
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フライト





Kz-原さん,Ki-原さん,Mu-井さん
(3人)は賢こく 早めに飛んで無事




この状態が変らなければ・・・
コンディション絶好だった




その時,写真を撮る余裕なし
(この写真は後で撮った)

 
≪今年の初フライト・・・雲中フライト≫
 こうして,私たち(7人)が神の倉TOに着いた時,既に広大生(パラ2機と,ハング2,3機)がフライト準備中だった。
今日これからのドラマはこの10人余りが演ずることになる。

 天気は北西風 3〜5m/sぐらい, 曇ったり・晴れたり・小雪もぱらついたり・・・。
こんな中で Kz-原さん,Ki-原さん,Mu-井さん(3人)は早めに飛び無事ランディングして,賢く難を逃れた。

 しかし,残りの人は寒さに震えながら,晴れ間が来るのを待った。
そして12:40頃からハングがテークオフし上がり始めるのを見てI-垣さん,T-中さん,Kp-原さん,広大生(2人)と一緒に私も12:55にテークオフした。

 その時は,青空の中に雪雲が点在し・・・,ちょっと寒いことを除けば 絶好のコンディションだ !!
先ずは穏やかで,雲の多い場所を選びながら,上がることも下がることもできる。 しかし当然,皆んな,上げる方を選ぶ。 
高度+200〜300mぐらいで 真に空中浮遊を楽しんでいた。
 間もなく北西方向から雪雲が近づいて来るのは確認した。
でも,全体は青空だから,南方向には≪逃げ場もある≫と、私はそんな感覚でいた。

 しかし,北西方向の1カ所にあった雪雲は,次第に左右にも広がり・・・,空全体を包みながら南下し 戦車の様な迫力で攻めて来る。

 う〜ん,こうなると 『ちょっとやばい !!』。 急いでランディングを決意した。 山本さんからも無線で 下りる様に言っている。
周囲を見ると,ハングもパラも・・・皆んな降下操作をしている。
勿論私も翼端を折り,LDに向かうが・・・,しかし焦る時は遅々として降下しない〜い・・・ !!
 山本さんは無線で 『LDも雪が降りだした・・・』 と,≪それは言われなくても上空からは手に取る様に見えているのに・・・≫無情な連絡をしてくる。

 こうなるともう≪南に逃げるか≫,それとも≪雪雲に突っ込むか≫何れかだが・・・,私は咄嗟に判断した。
 『例え南に逃げてもランディングに手間取れば,また直ぐ雪雲に追いつかれるてしまう ・・・!?!?
私は,やっぱり≪神の倉に留まる方が無難≫,ランディングを強行するのは却って危険と判断した。 

 そう決断するや否や,もう次の瞬間には,雪がサラサラというより,パチパチ音をたててぶつかって来る。  同時に視界も容赦なく奪われ,バリオはけたたましい上昇音を発し・・・,脱出方法は;雪雲が通り過ぎるまで我慢するか,又は雪雲が切れるまで どちらかの方向に突っ走るかだが・・・,どっちへ走ったら好いのか・・・??。  う〜ん・・・??。

 この期はバリオの激しい上昇音を除けば,上昇感も,下降感も,スピード感も,方向感も,何もない。 どちらにターンしても全く動きも感じない。 絶えずいつも正面から同じ強さで雪が吹き付ける。 周囲は全く白一色。
 しかし,フライトは全く揺れもなく総て安定そのものだ。 (今の瞬間は) 特に心配な状態ではないが,『この先,どんな事態がくるのだろうか・・・』 と考えると堪らなく不安で心細い・・・ !!

 その時 無線で Kp-原さんの悲鳴に近い声と,山本さんが一生懸命誘導する状況や,広大生の誰かも 南に流され誘導を受けているやりとりの声が聞こえた。
 『私以外にも心細い仲間がいる・・・』 と知ると,何故かちょっと心強くなる。
しかし,彼らは地上から見える位置だが・・・,こちらは高度;+800m〜で まだ急上昇中だ !! ・・・。
もし〜,他にもこの雲中に舞上げられている人はないだろうか? とすれば空中接触が心配 ・・・。

 だがここで最も支えになったのがGPSだ。 
神の倉から南東方向にかなり流されていることが分かった。 (神の倉から)ここまで離れた所で,まさか 空中接触というのは,まずないだろう・・・。
 しかし神の倉に近づかないと・・・,とんでもない所で降下したら,とんでもないことになる??。
ここは素直にGPSに従い北西方向に方位をとった。 幸い10km/hぐらいの速度で前進するから問題はない・・・。
 だが,ちょっと目を離すと(自分ではまっすぐ進んでいる積りが)真反対に,更に遠ざかっている !!
何か信じられない・・・ !! 。  しかし(自分の信念に背いて)GPS方位に進むことには,ちょっと不安と抵抗感がよぎるが・・・,やっぱりGPSの方を信じることにする。

 Kp-原さんも広大生も依然として苦戦している様だ・・・。 山本さんから≪ライン 2,3本使って もっと大きく翼端を折る様に≫指示されている。
 私も助けを求めるか?・・・。 しかし姿が全く見えない者をどうして誘導できるか・・・??
深刻に思うと不安だが,飛行は安定しているし・・・,1時間もすれば雲は通り過ぎる筈だ・・・ !! と考えると,ここは≪無理をして下ろすよりも,じ〜っと我慢≫を 自分に言い聴かせた。





先ほどは”ご苦労様”
広大F-原生は今日
第2本目のテークオフ


 高度;+1,300m ,バリオは依然として上昇音だが,『もう,雲を突き抜けて更に上がり続けることはないだろう』。
 少し安心すると,感覚的に寒さが益々厳しくなる。 これまでずっと翼端折りしていた指は冷え切って千切れそうだ。
 その時,空が急に明るくなった。  高度;+1,400m !!。 
やっと塞がれていた気分が急に開けた瞬間,このまま雲が通り過ぎるのを待つことができるという安心感が浮かんだ。
しかし,そう思ったとたん,以前にも増して堪らない程寒い・・・。 やっぱり,早く降下するしかない〜 !!

 広大生(右写真)は地上から誘導されながら,かなり南の方に遂に,ランディングした様だ・・・。
私も,翼端は少し折ったまま,幸いやっと順調な下降に転じた。 
しかしランディング場まで まだ 1,700mも降下せねばならないと考えると,うんざりするが,自分以外,誰にも文句を言う所もない・・・!!
 GPSにも大分慣れてきた。
最初に比べると不安は減少してきた分,寒さ感覚は倍増して,特に指は千切れる様に痛い。
遂に,Kp-原さんも苦戦の末,無事ランディングした様だ
私が地上にいたら ”ご苦労さん”と言ってあげたいが,今はそれどころではない。

 ともかく神の倉から離れない様,方位をキープしながら徐々に高度が下がり,+400mぐらいになった時,やっと神の倉TOが視認できた。 でもLDは見えないので,しばらく方向感覚が掴めない。
 更に下がり+150mぐらいでやっとLDが確認できた瞬間,山本さんも私を見つけてくれた。
寒さに堪えながらやっとランディングした時,キャノピーやラインには≪氷≫が付着していたそうだ。

フライト時間;約1時間。  ず〜っと翼端を折り続けていた手指は凍えて全く動かず,ハーネスも自分では外せず,キャノピーも皆に畳んで貰った。
その間もず〜っと私の手は指が千切れる様に(痛)冷たくて,全く動かない状態だった。
今となっては貴重な経験だが,最初の降下判断が大分遅すぎたことは反省材料である。

 ランディング後の情報ではハングとT-中さんは辛うじて雪雲襲来前にランディングし,I-垣さんは南方にクロカンランディングしたそうだ。
結局雲中飛行隊は 私と,Kp-原さん(大奮闘に疲れ果て無事ランディング)と,・・・広大生(2人)だが,広大生はアウトランディングや,無理に下ろそうとして一時キャノピーフラットスピンに近い状態を経験したり,思いがけないドラマを作ったそうだ。 しかし私より早く無事ランディングしていた。

その頃,LDにはこのドラマに関係なかった人も集まってきて,期せずして話題を蒔いてしまった。

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